すごもりシネマ

お家(時々、映画館)で観てきた映画の個人的な感想

No.010 『トムボーイ』|引くに引けない夏、夏休みに観たいおススメ映画!その②

男の子?女の子?なりすましの夏休み

(C)Hold-Up Films & Productions / Lilies Films / Arte France Cinéma 2011

夏休み中(春休み中)に引越してしまった子、新学期に転校生が来たことってわりと多くあります。

親の仕事の都合だったり、郊外に家を買った(建てた)家族だったりですが、親の仕事都合だと春休みが多かった気がします。夏休みに引っ越すことを視野に家を購入する家庭も多いですよね。

かくいう我が家も夏休みになったら引っ越せるよう、家をオールリフォームしたくちでございます。ご近所のマンションを借り住まいにしたので、遠くに引越ししたことはないんですけどね。

さて、今回ご紹介する映画『トムボーイセリーヌ・シアマ監督フランス映画です。欧米では夏休み後が新学期(進級)ですが、その夏休み中に家族が増えるため、郊外の大きめの家に越して来た10歳の主人公のお話です。

この主人公はロールという名の女の子なのですが、以前の家では近所の男の子とばかり遊んでいたため、髪も短くし服も動きやすい格好ばかりしてました。

引越し先でもサッカーをして遊ぶ男の子たちと、すんなり仲間になって遊べますが・・・。そこで彼女がとった行動は、偽名まで使って男の子になりすますこと。それが新学期直前までバレない話です。

この引くに引けなかった夏のできごとは、夏休み最大の思い出になったことでしょう。

お題「忘れられない夏、夏休みの思い出ありますか?」

★ネタバレ記事を読みたい方は↓↓↓

cinemarche.net

男の子に間違えられてばかりだった幼少期

私も10歳の頃はよく男の子に見間違えられました。女の子と手を繋いで歩いていると、「最近の子供は手つないでデートするんだ!ませてるよね」と後ろから声をかけられて、顔をまじまじ見られて、「あれ?もしかして女の子?」と聞かれたことがあります。

「女の子です!」と強めに言いつつもちょっと傷ついたりして・・・。でも、この映画の主人公ロールのように、近所に同世代の女の子がいなかったわけでもなく、おままごとやお人形遊びもしましたけど・・・。

でも、見た目が男の子っぽいということでいえば、生まれた時からそうだったみたいです。母は女の子らしい色のベビー服を着せてくれましたが、散歩していると「最近は男の子でもピンクを着せるのね」と言われたとか・・・。

今では着ている服の色で性別を・・・なんて考えられなくなりましたが、まして半世紀以上も昔なら“ピンク=女の子”でしょ?なぜ、男の子と言った?疑問しかないけど(笑)母も笑うしかなかったらしい。


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セリーヌ・シアマ監督と出会ったきっかけ映画

セリーヌ・シアマ監督は自ら同性愛者を公言していて、10代の頃にはLGBTの自覚はあったようです。同監督の第79回カンヌ国際映画祭脚本賞クィア・パルム賞を受賞を受賞した『燃ゆる女の肖像』でも、同性愛を扱った内容の作品です。

私は『トムボーイ』をきっかけにセリーヌ・シアマという監督を知り、シアマ監督の魅力に引き込まれ、のちに秘密の森の、その向こうの記事を書くにあたり、初監督作品の『水の中のつぼみ』を観ました。

『水の中のつぼみ』は思春期の少女が、上級生の少女に恋をするストーリーで、シアマ監督にも同じシチュエーションの思い出があり、それがモチーフになっています。

このように彼女の監督作品は自身の体験も活かしながら、とりわけ“少女”を愛らしくミステリアスに、思春期の頃の繊細な心の機微を描くことに秀逸していると感じます。

まとめ

(C)Hold-Up Films & Productions / Lilies Films / Arte France Cinéma 2011

“夏休み”とは引越しが多くなる時期でもあり、新しい恋が始まるきっかけの季節でもあります。その相手が必ずしも異性とは限りません。

ようやくセクシャルマイノリティーを理解し、寛容な見方もされてきましたが、見えない部分での無理解は残っているのが現状です。

そんな中、こうして段階を踏むような映画がいくつも撮られ、私もいくつかそうした“機微”に触れ、「人が人を愛することは美しいこと」と思わせてもらえてます。

皆様にもぜひこの夏、観てほしい映画です。きっと、引くに引けなかった夏の思い出を思い出す事でしょう。

お題「ゆっくり見たい映画」