すごもりシネマ

お家(時々、映画館)で観てきた映画の個人的な感想

No.007『わたしのお母さん』|なぜか母という影がわたしを憂鬱にする

“わたし”の中にある“おかあさん”という螺旋

(C)2022「わたしのお母さん」製作委員会

今週のお題「おとなになったら」

2023年5月14日日曜日は母の日ですね。

私の母は亡くなってもういません。義理の母も亡くなっています。私には二人の息子がいて、私が母の日に労ってもらう対象者です(笑)

でも、なんというか・・・労ってもらったり感謝されたり、行動や態度で何かしたりしてもらうことに、若干違和感を感じている天邪鬼です。

子供の頃は小銭を貯めて母親にプレゼントを買ってあげたこともありますが、毎年そうしていたわけでもなく、だからといって感謝していなかったわけでもありません。

おとなになって結婚して子供ができたら、「自分はどんな母親になっているだろう?」そんな考えから導きでたのが、“母のようにはならない”でした。

感謝しているのに、愛情という感情が沸かない

この映画を観たとき、主人公の夕子に感情移入してしまい、夕子の母寛子が自分の母親と重なり、なんともいえない気持ちになりました。

観たい作品を決める時はあらすじを見て決めます。なので、なんとなくそんな気分になることはわかっていたのですが…。

『わたしのお母さん』は夫に先立たれて、3人の子供を育て上げた母と“長女”ということで、我慢を強いられ“忙しい”母から気にかけてもらえず、むしろ母のサポートをしなければならなかった娘の話です。

父親の代わりにがむしゃらになって働き、家事もこなす母親に感謝しない子供はいないと思います。

3人兄弟の妹と弟は苦労した母への感謝が深いのに対し、主人公の姉はどこか違いました。たぶん、いつでも「お姉ちゃんなんだから」と後回しにされ、忙しさの中に彼女の寂しさは報われず、埋没させられてきたからだと・・・理解できました。

しかし、そのことを苦労している母親にぶつけることもできず、主人公は「早くおとなになって、家を出たい」と思ったに違いないのです。

なぜなら私がそうだったから・・・。

主人公の母は仕事がセールスレディだったからか、社交的で高度力もあり明るい性格ですが、どこか無神経なところがありました。

世間体や人当たりを気にするあまり、身内に厳しいイメージがして、その部分が自分の母親とも重なって、一層主人公が自分と重なり嫌悪感となりました。

主人公はこの母と心を通わせられず、ある日険悪なムードのまま別れ、数時間後には母は帰らぬ人となってしまいます。

母の葬儀が終わり、主人公が実家の母の部屋で、泣きながらつぶやいた一言が心に沁みます。私はさすがにそこまで言うことはなかったけど…心情的には理解できました。

cinemarche.net

私のお母さんとお母さんの自分

主人公は自分の気持ちを話したり、伝えることを諦めてしまったタイプですが、私は折に触れ数年に一度、思いの丈を母にぶつけていたから、母の最期に感じる気持ちに若干違いはありましたが、ものすごく理解できたのです。

うちは母子家庭ではなかったけど、父親の事業が失敗し借金があったり、父が脳血栓で何度か倒れ、仕事があまりできなかったので、母親も必死に働いていました。

子供はそういうことを理解していますが、子供には処理できない寂しさや苦しさがあって、親に優しくしてもらいたいと願うんですけど、親はそんな余裕がないんですよね。

でも、母は外に向けての愛想がとてもよく、他人には何でもよく面倒をみれる人だったので、その余裕をもっと子供に向けてほしいと思ったものです。この映画にもそう感じるシーンがでてきて、余計に主人公の気持ちに傾きました。

私はおとなになったら、経済的に苦しい家庭にはしたくないと思いました。夫になる人も尊敬できて健康で、節度を守れる人と決めていて、ある程度その理想に叶った人と結婚しました。

経済的なことや健康であることは気持ちに余裕を生み、子育てにも余裕ができると実感としてわかりました。息子たちは私に対して反抗的ではないし…優しく素直に育ちました。

つまり、主人公の妹や弟は“姉”がいてくれたおかげで、グレずに素直に成長したのだともとれます。母親への感謝も大事ですが、姉への感謝がもう少しあってもいいのに・・・そんな気持ちになります。

また、主人公の母も子供を育て上げ、経済的にも精神的にも余裕ができた時期と重なり、主人公が幼い頃味わえなかった、母性を見てしまいモヤモヤを感じました。

姉だけがなんだか損している・・・だから、妹や弟の面倒から解放され、結婚することで母親からの要求からも・・・。我慢を強いられてきた子供は、その環境から逃げ出すことを考えます。

ひとつ主人公と私の違うところは主人公には子供がおらず、母親になっていないところです。妹弟の面倒をみてきたから子供はいらないのか?子供ができれば母への感情が少し変わるのか・・・。

湯を沸かすほどの熱い愛』この映画には、血を分けた親子関係以上の“愛”が描かれ、境遇に関係なく人を深く思えることを伝えていました。

私自身も母への感情を歪ませたまま、看取るのは人としてどうなのか?そう思っていたので、母との最期の数か月を書き残しました。

yumcha-low.hatenablog.jp

 

まとめ、悔いを残さないお母さんへの想いを・・・

20221111_わたしのお母さん_karasawa

母の日によせてお手本にも反面教師にもなる親との関係。特に母と娘というのは反面が多いような気がしますが、結局DNAとは恐ろしい・・・そう思う瞬間もあります。

母の癖や話し方が似てくるのです。母の嫌だった部分は見習わず、お茶目で優しかった部分が時々顔出してくる感じです。

なので、これから先も母の影というものはつきまとうのだな・・・と、おとなになったから忘れるものでもないと思うので、ぜひお母さんがご健在の方は特別なことはしなくても、優しくしてあげる日にしてください。

 

お題「ゆっくり見たい映画」